「ビフィズス菌」といえばヨーグルトやチーズに入っているおなじみの菌で、「ビフィズス菌=体に良い菌」と考えられている方も多いと思います。腸内環境においては、善玉菌として乳酸菌とともに健康や美容の為に大切な存在です。
「ビフィズス菌=乳酸菌の一種」との認識を持っている方も多いと思われますが、分類学的には違う種類の菌として扱われていて、働きや性質が異なる点が多くあります。
腸内ではどのような働きや効果があるのか紹介しましょう。
ビフィズス菌とは?
ビフィズス菌は腸内にすむ善玉菌の一種で、分類学的にはビフィドバクテリウム属に分類されています
1899年にパスツール研究所のティシエ博士によって、母乳を飲んでいる赤ちゃんのうんちから発見されました。菌の多くがY字に枝分かれしている形から、ラテン語で分岐や二股を意味する「ビフィダス」と呼ばれ、日本では「ビフィズス菌」として定着しました。
ビフィズス菌は人や動物の腸内だけにすんでいて、植物には存在しません。酸素がある環境では生きていられない性質があるためで、人の腸内でも酸素がない大腸に多くがすんでいます。約40菌種の菌種が確認されていて、人の腸内には7~8菌種がすんでいるとみられています。
約40種類のビフィズス菌は、人が住んでいる地域、民族、生活習慣、食生活などによって腸の中にすんでいる種類が違います。代表的な菌種にロンガム菌やブレーベ菌があり、日本人の腸の中にはロンガム菌が常在しています。ですので、大腸の中にロンガム菌が増えれば、ビフィズス菌が増えているということになります。
ビフィズス菌と乳酸菌の違い
乳酸菌は乳製品や発酵食品などの自然界に多くすんでいますが、ビフィズス菌は主に人や動物の腸の中に、とても多くの数が住んでいます。つまり、人の身体に適した細菌といます。
人の腸内には約10億個の乳酸菌がすんでいますが、ビフィズス菌は約1~10兆個もの数がすんでおり、人の腸内で一大勢力をほこっている菌なのです。ビフィズス菌がどれだけ多くすんでいるのか、または最適な数がすんでいるのかが腸内フローラのバランスの鍵をにぎっています。
ビフィズス菌はビフィドバクテリウム属に分類される菌で、酸素があると生きられない嫌気性菌です。
乳酸菌とは糖を分解して乳酸を多く作り出す菌の総称ですが、ビフィズス菌は乳酸以外にも酢酸やビタミンBなどを作り出し、善玉菌として働きます。学問上では乳酸菌には分類されません。
この酢酸は腸内環境を酸性にバランスを保つことで悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌が優位な状態にする役割をしています。
ビフィズス菌の働きや効果
ビフィズス菌は大きな働きのひとつが、腸内環境を改善する作用です。
大腸に多くすみつき、腸の中のpH(ピーエッチ)をコントロールして酸性に保ちます。腸の中が酸性になると、生息している悪玉菌の増殖が抑えられ、腸内環境のバランスを改善して、腸内の腐敗産物などを減少させます。
ビフィズス菌が腸の中で作る有機酸である乳酸や酢酸は、大腸の中を酸性にして病原菌の感染や発がん性物質の生成を防ぎます。大腸は酸性になると刺激を受けてぜん動運動が活発になり、排便が促進されるため、便秘の解消にも働きます。
その他にも以下のような働きがあります。
・免疫力を調整する・・・腸内の免疫機能のバランスをとり、免疫を正常化する。
・血中コレステロールの低下・・・動脈硬化などの原因になる、血中のコレステロールの値を下げます。
・ビタミン類の産生・・・ビタミンB1、B2、B6、ビタミンK、葉酸などのビタミンを産生します。
食生活の乱れやストレス、薬などの影響で腸内環境が乱れると、善玉菌であるビフィズス菌の力が弱まって悪玉菌のウェルシュ菌などが増えてしまいます。悪玉菌が増えると有害な物質が生成されてしまい、おならやうんちが臭く感じるようになります。その状態を放っておくと、有害物質がされに増加して、ガンや成人病などさまざまな疾患の原因となってしまうケースもあります。
ビフィズス菌を活躍させて腸内環境を良くするということが、健康へ鍵になります。
ビフィズス菌が含まれているヨーグルト
ビフィズス菌が含まれている食べ物の代表格と言えばヨーグルトがあげられます。
ヨーグルトは乳に乳酸菌や酵母を混ぜて発酵させて作る発酵食品です。ビフィズス菌が豊富で腸内環境のバランスを整える作用があります。免疫細胞の約70%が腸に存在しているので、腸内細菌たちを増やし、免疫を活性化させることで風邪やインフルエンザにかかりにくい身体にする働きが期待できます。
最近では、特徴のあるビフィズス菌を多く含み、さまざまな症状に効果があると認められた機能性表示されたヨーグルトが発売されているので、人それぞれの目的や体調に合わせたヨーグルトを選ぶことができます。
機能性ヨーグルトの種類
メーカー・品名 |
キャッチコピー |
期待される効果 |
明治 |
強さひきだす乳酸菌 |
風邪・インフルエンザ予防 |
明治 |
リスクと戦う乳酸菌 |
ピロリ菌の抑制 |
明治 |
プリン体と戦う乳酸菌 |
痛風の予防 |
小岩井 |
まもるのチカラの乳酸菌 |
風邪・インフルエンザ予防 |
森永乳業 |
美しさを内側から |
美肌 |
森永乳業 |
まもる母のちから |
ノロウィルス予防 |
雪印メグミルク |
ガセリ菌SP株が内臓脂肪を減らす |
メタボリック症候群対策・予防 |
タカナシ乳業 |
アレぎみな春の対策 |
花粉症の症状軽減や予防 |
タカナシ乳業 |
良い菌を増やし、悪い菌を減らす |
便秘解消・アトピー性皮膚炎の軽減 |
ビフィズス菌の上手な摂り方
健康な腸にとって大切なビフィズス菌ですが、日々の食生活やストレス、運動不足が原因で減少してしまうことが分かっています。また、年齢を重ねるごとにその数が減少してしまいます。赤ちゃんの頃の腸内ではビフィズス菌が90%以上をしていますが、老齢期になると1%~10%くらいしか存在していないと言われています。
ビフィズス菌は一度食べるとずっと腸内に住みつくわけではありません。腸内にとどまって健康のために働いてくれるのは長くても1週間程度のようです。
健康のために良い腸内環境を維持するためには、毎日継続してビフィズス菌を補給してあげることが大切です。
ビフィズス菌を増やす方法
腸の中で活躍してくれるビフィズス菌が大切な存在だということはもうお分かりかと思います。しっかりと働いてもらうために、定期的にビフィズス菌を補給してあげる事が大切ですが、ビフィズス菌が元気に活動する為のエサをあげることも必要です。
ビフィズス菌の好物のエサには「オリゴ糖」と「食物繊維」があります。
・オリゴ糖を摂取する
腸内でビフィズス菌を増やすには、エサである糖類を腸に送ってあげる事です。糖類の中でも効果があるのがオリゴ糖です。実験では2週間ほどオリゴ糖を摂取した結果、腸内のビフィズス菌の数が10~100倍も増えたという報告もあります。
オリゴ糖は大きく分けて、小腸などで吸収されてしまう「消化性オリゴ糖」と消化されずに大腸まで届く「難消化性オリゴ糖」の2種類があります。
難消化性オリゴ糖は、小腸で吸収されないために血糖値が上がりにくく、ビフィズス菌を増やすのにピッタリのエサとなります。難消化性オリゴ糖には、フラクトオリゴ糖、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖(ミルクオリゴ糖)、セロオリゴ糖(セロビオース)などの種類があります。
・食物繊維を摂取する
ビフィズス菌を増やすには、栄養のバランスが取れた食生活を心がけて、ビフィズス菌が増えやすい環境を整えてあげることも大切です。食物繊維は小腸などで消化吸収されずにそのまま大腸へ届いて、ビフィズス菌の増加を助けます。ウンチの量を増やして排便をスムーズにさせて便秘を解消させる働きや、悪玉菌が腸の中に作った有害な物質の排泄を促進させる特徴があります。
食物繊維は身体の健康維持に必要な第六の栄養素として注目を浴びている存在です。多く含む食材には、根菜類、穀物、豆類、海藻、きのこ類などがあげられます。これらの食材を日常的に多めに摂取することが、ビフィズス菌を増やす上でも大切なポイントになります。
ビフィズス菌の種類
ビフィズス菌には以下のような種類があります。
ビフィズス菌 BE80 |
おなかの不快感をやわらげる |
ビフィズス菌 BifiX |
腸内環境を改善し、便通・お通じを改善する |
ビフィズス菌BB536 |
腸内環境を良好にし、腸の調子を整える |
ビフィズス菌HN019株 |
腸内環境の改善及びお通じの改善に役立つ |
ビフィズス菌ロンガム種 |
腸内フローラを良好にし、便通を改善 |
ビフィズス菌BB-12 |
おなかの調子を整え、お通じを改善する |
ビフィズス菌BB536 |
腸内環境を良好にし、便通を改善する(排便回数を増やす) |
ビフィズス菌HN019 |
便通を改善 |
こんな症状に悩んでいませんか?
便秘
慢性的にお腹が張っていて便秘気味。
コロコロなうんちが週に何回かしか出ない。
風邪やインフルエンザ
年に何回も風邪にかかってしまう。
インフルエンザは注意しているけど不安。
アレルギー
食べ物などで皮膚がかゆくなる。
花粉症で鼻がムズムズ、目もかゆい。
肥満改善・ダイエット
お腹周りに余計な肉がついた気がする。
食事も注意しているけど痩せない。